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事業承継

「事業承継」とは、会社を次の世代にバトンタッチすることです。しかし、「相続」が親族間の問題であるのに対し、「事業承継」は従業員、販売先や仕入先などの取引先をも巻き込む問題です。つまり、一般的な「相続対策」より大きな視野で見据える必要があります。換言すれば、経営者は、自分一人の問題ではなく既にご自分の家族、従業員、従業員の家族、販売先や仕入先などの取引先、金融機関も巻き込んでおり経営者にとって避けて通れない一大イベントでもあるわけです。 少子高齢化が進行する中、後継者不足、後継者の育成は大きな課題です。
 オーナー企業経営者の皆さんにとっては、早期に事業承継問題に取り組むことが、事後の問題を回避しスムーズなバトンタッチを行える唯一の方法です。


「中小企業の承継問題」の本質

◆「承継問題」の三大テーマ
「承継問題」の三大テーマ

◆WIN・WINの発想の必要性
WIN・WINの発想の必要性

企業承継の必要性

企業承継の必要性


◆「企業承継」9種の選択肢
「企業承継」9種の選択肢
1.経営者の親族の誰かが一人で会社を継いで新経営者になる方法。
【メリット】 我が国の社会慣習にも合致し、会社の承継と遺産相続がある程度リンクすることになるため、一般的には最もスムーズな承継が可能となる。
【リスク】 後継者になるべき人材の能力や人間性に問題があった場合には、一気に会社の経営力が低下してしまうという懸念がある。

2.経営者の子女が複数で共同して会社を引き継ぐというような方法。
【メリット】 「1」と同様に会社の承継と遺産相続がある程度リンクすることになる。
【リスク】 将来的に相続争いで無駄な揉め事が勃発するリスクも考えられる。

3.現経営者またはその一族が会社の株式を所持したままの状態でもって、親族以外の社内人材の中から新経営者を抜擢するという方法。
【メリット】 社内人材であれば、会社の内情も理解しているであろうし、会社内外からの理解や支援を得やすい。
【リスク】 現経営者の持株の将来における移転問題や、金融機関に対する現経営者の個人保証の引継ぎ問題が発生する可能性がある。

4.現経営者一族が株式を所有している状態において、外部から人材を求めて新経営者の地位に就いてもらうという方法。
【メリット】 優れた経営能力を持つ経営者人材を広く求めることができる。
【リスク】 経営者人材の不足や現経営者との意見相違の可能性が考えられる。

5.現経営者一族がその所有する株式を手放し、社内人材に所有と経営のいずれをも譲って引退する方法で、いわゆる「MBO」と呼ばれているもの。
【メリット】 社内人材が承継するので対外的にもスムーズに受け入れられる。
【リスク】 社内人材が株式を買い取ることになるため、その資金調達や経営リスクの負担、保証人交替等の問題もある。

6.現経営者が会社の全ての権利を手放して他者に譲渡する、いわゆる「M&A」である。
【メリット】 現経営者は完全に引退し、新経営者は既存の市場や人材を受け継ぐことができる。
【リスク】 企業理念や企業風土の相違により、周囲の理解と協力が得られない危険性がある。

7.まだ資産超過の段階において、あえて事業の継続を断念して、現段階で会社を解散、残余財産を現経営者一族や株主で分配清算するという方法。
【メリット】 現経営者一族は完全に会社と縁を切ることができる。
【リスク】 一般的に「承継」の選択肢としての認識がされておらず、誤解を招く可能性がある。

8.既に一定以上の債務超過状態に陥っており、回復方法が見当たらないという場合、早い時期において倒産を決意するという方法。
【メリット】 一日も早く倒産を決意するということが、被害を最小限に止める方法となる場合もあり得る。
【リスク】 通常は経営者は自己破産し、社会的ダメージを受けることになる。

9.何等かの市場に株式を公開することによって、現経営者の持ち株を市場で売買できる状態にするという方法。
【メリット】 理論的には完全に所有と経営が分離されることとなるので、その会社の承継問題はいわば「モノ」の問題のみになる。
【リスク】 折角培った企業理念や企業風土が経済原理のもとに踏みにじられてしまう危険性がある。


親族が正しく引き継ぐ企業承継

世襲制の問題点は多々指摘されているが、我が国においては決して世襲制は否定されるべきものではなく、むしろ相続問題との関連等の諸条件から、世襲制のメリットも確かに存在しているので、初めにこれを考えるべきであろう。

◆継がせる側(親)の条件
条件 視点
子や孫に対する能力評価が公正妥当であるか? 多くの場合は過大評価若しくは過小評価である
自分との個人的関係だけで取引している相手が多くないか? 自分は思っていなくても相手がそう思っているケースは多い
自分の周りにいわゆる「イエスマン」を置いていないか? イエスマンの存在は、大抵の場合に後継者の経営の障害となる
後継候補者に対する教育に十分な時間をかけているか? 子や孫が後継者となる場合には、他人に承継させる以上の教育が必要
経営理念を後継者に分かるように伝えることができるか? 自分だけが分かっていても子や孫には理解されないことも多い
◆継ぐ側(子や孫)の条件
条件 視点
会社を親から当然貰う相続財産と思っていないか? 1人の従業員、1社の取引先があれば、もはや会社は個人のものではない
他の相続人との関係は良好か? 兄弟姉妹の誰かが継ぐ場合、継がない者の権利の存在が将来に禍根を残す
既存の従業員に対して先代と同程度以上のリーダーシップを保てるのか? 従業員の意識の中に「所詮二代目だから」という感情があってはならない
次の経営承継まで考えているか? 経営承継はいつ何時発生するか予測の付かない「最大の危機管理事項」

継ぐべき人が継ぎ、継ぐべきでない人は継がない 企業承継

世襲制の失敗例は、そのほとんどが「継ぐべきでない人が継いでしまった」あるいは「継ぐべきでない会社を継いでしまった」ということが原因である。
その会社の実状、子や孫の能力や意識、周囲の環境、その他の各条件を勘案した上で、総合的な判断でもって後継者を決定することは、現経営者にとって、ある意味では経営者としての在職中、最大最高の仕事なのかも知れない。

◆継ぐべきでない人とは?
  1. 会社を個人財産と考え、経費濫用や役員報酬の取過ぎ等、公私混同をする人
  2. 「組織」を理解できず、他者との調和を軽んじ、自分勝手な考え方をする人
  3. 知識が偏っており、総合的な経営判断能力に問題があると思われる人
  4. 会社の目的を金儲けだけと考え、会社や社員を愛する気持ちの足りない人
◆継ぐべきでない会社とは?
  1. 主力事業や主力商品が既にマーケットとしての限界に達している会社
  2. 目先の資金繰りの心配ばかりで、大きな意味での将来が見えない会社
  3. 社内の意識がバラバラで、真剣に会社の将来を考える人材の居ない会社
◆継がない「企業承継」の選択肢
  1. 【売却】 M&A、MBO等々で経営権を他社に譲渡する
  2. 【撤退】 まだ資産の残っている間に会社を廃業して残余財産を分配する
  3. 【積極解散】 債務超過分を経営者個人が補填してでも会社を解散する
  4. 【倒産】 法律のお世話になるなどして債務整理をかけて会社を潰してしまう

当事務所の事業承継対策

当事務所の事業承継対策とは、会社オーナーと承継者の個別の事情に照らし合わせて問題点を抽出・検証し、状況にフィットする解決策を提案、実行するオーダーメイドなコンサルティングです。

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